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2012-04-02

【MR・大手前通信】 「税と社会保障一体改革」における「歳入庁」構想[vol.25]

【MR・大手前通信】 「税と社会保障一体改革」における「歳入庁」構想[vol.25]
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〜_…_〜_…_〜_…_〜_…_〜_…_〜_…_〜 2012.04.02

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-CONTENTS-

◇【経営】「税と社会保障一体改革」における歳入庁構想
◇【労務】高齢者等雇用安定法と労働契約法の一部改正案概要
◇【会計】信用保証協会が行う中小企業会計割引制度の見直し
◇ 編集後記

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【経営】「税と社会保障一体改革」における歳入庁構想
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平成24年3月30日、「税と社会保障一体改革」の柱として消費増税法案が、
激しい政争を経て閣議決定されました。この法案に「歳入庁」の創設を本格
検討することとされています。

「歳入庁」とは、国税と社会保険料の両方を徴収する権限を持つ機関であり、
徴収事務の効率化が図られます。すでに欧米諸国では、税と社会保険料の
徴収一元化が取り入れられています。

また、平成24年3月22日には厚生労働省が国税庁に対し、厚生年金保険料
を長期間にわたって高額に滞納している悪質事業所に対する強制徴収を委
任したと報道されました。
公的年金保険料の滞納者に対する強制徴収は、日本年金機構も実施して
いますが、国税庁のノウハウを生かして厳しい姿勢で臨むために、平成22年
1月の機構発足時の法改正で委任できるようになっています。
実際に委任するのは今回が初のケースとのことです。

現在、厚生年金保険に加入すべき企業のうち、未適用のままである事業所
数は、全国で約10万事業所(約6%)以上と言われています。公共事業を
行う建設業などでは、社会保険への加入率が低く、国土交通省が社会保険
の未加入事業者に対し、入札に参加させない規制を進めています。
(公共事業労務費調査のH23.10月調査によると、都市部で加入率が低く、
東京66%、千葉59%等と報告されています。)

確かに一部の企業において、社会保険料コストを抑えるために法令に反す
る事例、例えばアルバイトを一律に社会保険に入れない、役員報酬・給与を
低く届出している等、を見受けることがあります。

我が国では、人口構造の変化に伴う高齢三経費(年金・医療・介護)と子育
て問題が顕著になっています。こうした動きから見るところ、社会保障の財源
確保・回収のため、社会保険料等の徴収権限にこれまで以上の強制力を持
たせようとしているのでしょう。

まだ「歳入庁」は構想段階で、実態が明らかにはなっていないのですが、税と
社会保険料の両方の徴収権限をもった「歳入庁」の誕生により、一般企業へ
の調査が強化され、企業の納税・納付事務の効率化・透明化を強く求められ
ることが予想されます。今後、企業経営者にとっては、コンプライアンスをより意
識した経営を目指すことが必要と考えます。
 
 
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【労務】高齢者等雇用安定法と労働契約法の一部改正案概要
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厚生労働省は第180回通常国会に法律案を提出致しましたが、中でも企業
にとって大きな影響が予想されるのが、「労働契約法の一部改正案(以下
「有期労働契約に関する法案」という)」と「高年齢者雇用安定法の改正案」
です。以下では、法案のポイントについて簡単にご説明いたします。

(1)有期労働契約に関する法案
  �有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合は、労働者の
   申込みにより、無期労働契約に転換させる仕組みの導入
  �有期労働契約の更新等(雇止め)の法定化
  �期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止
 
法案の提出理由としては、近年の働き方の多様化により有期契約労働者の
数が増加していること、有期契約労働者の74%が年収200万円以下にと
どまっており不安定な立場にあることなどがあります。
上記�の5年のカウントについては、5年の間に原則6か月の空白期間を経
た後であれば、空白期間前の有期労働契約期間は通算されない仕組みに
なっています。
なお、労働者からの申込後の労働条件は、別段の定めがない限り、従前と
同一の労働条件(契約期間を除く)となります。

(2)高年齢者雇用安定法の改正案
  �継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止
  �継続雇用制度の対象者が雇用される企業の範囲の拡大
  �義務違反の企業に対する公表規定の導入

高年齢者雇用安定法は、老齢厚生年金の支給開始年齢が徐々に引き上げ
られることから、60歳の定年後、無年金・無収入になる人が出ないようにと設
けられたものです。
現在の高年齢者雇用安定法では、継続雇用制度の導入などにより65歳まで
雇用を確保するよう義務づけていますが、労使協定で継続雇用制度の対象
者の基準を定めることができ、希望者全員を継続雇用しなくてもよい制度に
なっています。
しかし、2013年度以降は、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給も61歳以降
に引き上げられるなど、継続雇用制度の基準を満たさない場合は、完全に無
年金・無収入になる人が出てくることになります。
そこで今回の改正案(上記�)では、労使協定で対象者の基準を決めることが
できるという現行の規定を廃止し、希望者全員の継続雇用を義務づけることと
しました。
ただし、老齢厚生年金が受給できる年齢の人については、従来どおり労使協
定で基準を定めることができるようになっています。
 
 
他国に比べ解雇が容易にできない日本の中小企業にとって今回の改正案は、
経営状態を圧迫する一つの要因になりかねません。今後は、有期労働契約の
更新の間に空白期間を設けることや、ベテランの持つ貴重なノウハウを若手
への技術継承に活かす制度作りをするなど、上手く法改正の対策を講じること
が重要な課題になると予想されます。
 
 
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【会計】信用保証協会が行う中小企業会計割引制度の見直し
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信用保証協会が行う中小企業会計割引制度をご存知でしょうか?

この制度は、「中小企業の会計に関する指針」(以下「中小指針」という)に準
拠して作成される中小企業の計算書類について、税理士等(税理士法人、公
認会計士含む)により中小指針の準拠を確認するチェックリストが提出された
場合には、信用保証協会の保証料率0.1%の割引が受けられる制度です。

中小企業の計算書類が中小指針に準拠していることを税理士等が確認するこ
とによって、信用保証協会の審査コストが低減することが期待できることから実
施された制度となります。

この中小企業会計割引制度の一部見直しが実施されています。
概要は次のとおりです。

なお、この見直しは、平成23年4月1日から実施される予定でしたが、平成23年
3月11日に発生した東日本大震災発生直後の混乱もあり、1年間後ろ倒しにて
実施されております。

【見直し内容】
(1) チェックリストの全部準拠
  �チェックリストの全15項目全てが中小指針に準拠していること
    ただし、保有しない資産については除外されます。
  �上記�に準拠しているにも関わらず、故意・過失を問わず事実と異なる
    記載が認められると信用保証協会が判断した場合は、この制度の利
    用は認められない。
(2) 事実と異なる記載に対する一時利用停止措置
  故意・過失を問わず事実と異なる記載と保証協が認めるチェックリストが、
  複数回にわたり同一の税理士等から提出された場合、当該税理士等か
  ら提出されるチェックリストの添付をもって、計算書類の信頼性向上が認
  められないと信用保証協会が判断した時は、当該税理士等が確認したチ
  ェックリストについては、当該制度の利用を1年間認めない。

【当該見直し実施時期】
平成24年4月1日以降に終了する事業年度の計算書類から適用されます。

中小企業の多くが信用保証協会の保証付融資を受けておられることと思います。
自社の計算書類において、具体的な処理方法等の確認や見直しをする良い
機会にもなると考えます。中小企業会計割引制度のご利用を一度ご検討
されてみてはと思います。

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編集後記
先日、M&Aの国際会議出席のためスイスに行ってきました。
自由時間に市街を散策していたのですが、至る所に時計屋さんがありました。
本当は記念に時計を購入する予定だったのですが、高すぎます。
それにスイスは物価も高くマクドナルドのビッグマックが日本円で約600円もする
らしいです。
完全に諦めて日本に帰国してから、驚いたことがあります。
土産話を聞いてくれている友人の腕にスイスメーカーの時計が。。。苦笑いで聞
いていたんだろうな。(清田)
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